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子どもがいてもいなくても

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波照間島のことを思い出すと、あの優しい海の色で胸がいっぱいになる。
小さな小さな南の島。庭には島バナナが自生していて、
犬とにわとりと亀とやどかりが住んでいる小さく粗末な家に住み、
貧しいながらも豊かな暮らしをしていた、あの島のこと。

昼間は海で熱帯魚たちと戯れて、どこまでも泳いで潜って貝を採った。
夜はおじぃたちが蛾のように電気の点いてる家をを目掛けて酒瓶ぶらさげてやってきた。
毎日どこかで三線と島唄が聞こえた。
子どもたちはバカで元気で真っ黒で、おばぁたちは畑とゆんたく(お喋り)が仕事。
野生の山羊たちの群れ。目ん玉も泣き声も可愛いのに、
ハレの日はご馳走として食卓にいた。
自由奔放な毎日だった。お洒落とは程遠い泥くささ。
感情剥き出しのすべてが原色の思い出。

子どもが生まれた日、我が家に島中からお祝いが何十個も届いた。
仲間や見知らぬ観光客たちが公民館で焼き魚とおにぎりと歌と踊りで祝ってくれた。
あの年島で生まれた子どもは確か例年より少し多めの6人。
「島の宝物だ」ととても大切にしてもらった。
いつだったか小学校で児童の問題行動があったとき、体育館で集会が開かれたっけ。
「みんなで○○くんの問題を解決しよう!見守っていこう!」と。
子どもは島の宝。みんなの子ども。だからみんなで育てる。
そんなこと誰かに教えてもらわなくったって当たり前だった。

昨日子どもの出身校の緊急保護者集会に出てそのことを思い出した。
子どもはひとりで勝手に育つわけでもなければ、
親ひとりで育てられるものなんかじゃないんだ。
周りの人間の手を借りながら社会全体で育てるものなんだと。
そして決してマニュアルなんかで育つわけじゃないんだと感じる。
「教育委員会としては善処しています。」とか、
「学校としてはこのように対応しています。」とか、
四角四面の表面的な大人のルールで子どもが育つわけじゃないんだよ。

表現方法は人それぞれの違いはあれ、愛情だけが子どもを育てる。
愛情なんてわからんよ、というのならば、
どうかほんの少しだけでいいから想像力をもったら?と思う。
たとえば、「男だから妊婦の気持ちはわからん。」じゃなくて、
「男の自分が妊娠したら足腰はどんなに重くて辛いのかな。」と、想像すること。
だって私たち大人だって全員子どもだった。
たくさんの誰かに守ってもらいながら年を重ねてこれただけだ。
子どものとき感じた、小さな痛み、悩み、
大変なことがあったときほど親に言えなかったこと、
そんなこと想像したらすぐわかることなのに。

愛は想像力だと思う。教育現場のあれこれを聞くたびに感じる愛と想像力の欠如。
自分の子どもであろうとなかろうと、子どもは社会全体の宝物。
そして学校はそんな宝物を守る神聖な場所。
決して学校や大人の都合や面子を保つ場所じゃないのよ。
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by lalaleene | 2011-02-09 16:40 | Trackback | Comments(0)

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by ララリーヌ(lalaleene)
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